CAPA2024年4月号のコラム

TTArtisan10mmF2

中国、銘匠光学のAPS−C用超広角レンズで、日本の代理店、焦点工房から直販税込み価格が26,820円と、円安なのに信じられない価格です。左の写真は樹脂製のレンズキャップを外したところで前枠が上下の浅いひさしだけなので前玉が心配です。そこで付属のフィルターホールダーを取り付けたのが右の写真で、これであれば前玉も少し守られます。またフォーカスリングの操作感を良くするためにゴムのローレットを巻き、フィートの距離表示は要らないの黒い化粧シートで隠すとメートル表示も見やすくなりました。

このレンズはMFなので、カメラはピーキングが抜群に使いやすい富士フイルムのX-H1用として購入しましたが、やや大柄なX-H1でもフィルターホールダーを取り付けると見た目のバランスもとれます。なおフォーカスリングの距離表示が実際とは、ずれているために目測によるフォーカシングはできません。

焦点距離は、手製の測定器で正確に85mmだったレンズで撮影した遠くの被写体の大きさとの比較から計算すると10.8mmで、35ミリ判に換算するとほぼ16mm相当になります。超広角を代表する画角が26,820円で撮影できるのですから、コストパフォーマンスはとてもいいです。

横浜ランドマークタワーの展望台から横浜駅方向を撮影したもので、絞りはF4です。画面中央は開放からかなりのシャープさですが、周辺から隅に行くほど放射方向に流れるようにぼけます。それでもF8に絞れば、ほぼ全画面で実用上は十分なシャープさになります。

冬のシダレモミジの木を下から見上げるように撮影したもので、奥行きのある被写体なのでF8に絞りました。上の写真で赤い枠で囲ったところを拡大したのが左の画像です。写真では倍率色収差が見られますが、これはニコンの無料アプリ「NX Studio」でほぼ消すことができます。

新宿御苑ミュージアムの展示室です。ディストーションは少し樽型ですが、ほとんど気になりません。

撮影距離が2mくらいでは風景のときとは異なり、絞りF2開放の周辺でも結構シャープです。この写真はパソコンのHDR処理で周辺を少し明るくし、若干シャープさを加えたことで、十分な画像になりました。

 

朽ちて切り倒された大木に近づいてみると、不気味な様相に見えてきたので最近接あたりでF16に絞っての撮影です。超広角は寄ることで面白い絵が撮れるのも魅力です。

横浜ランドマークタワーからの夜景で、絞りはF2の開放でマルミの「シルキーソフトA」を装着し、画面周辺を12mm相当の画角にトリミングしたものです。